■個性・高付加価値を求める消費者
個性豊かなクラフトビールが、ここにきて存在感を増している。
全国に約220社が事業展開しているのに加え、大手4社も「クラフトビール」と銘打った缶ビールを発売するなど参入。とりわけ、キリンビールは東京・代官山に小規模醸造所を併設した飲食店を建設し、「スプリングバレーブルワリー(SVB)東京」として4月にオープンさせた。
SVB東京の客席数は200。営業時間は午前8時~午前0時(土日は午後11時)。当初の来店者数は1日700~900人台だったのが、5月に入ると連日1000人を超える。「1日600~700人を計画していたが、倍近くに達する日もある。平日の午前中からビールを注文する人も目立つ」(キリンビール)と話す。
クラフトビールとは、小規模醸造所で職人がこだわって造る個性的なビールを指す。大手4社が生産する主力ビールは、淡色で下面発酵させて醸造するピルスナーと呼ばれるタイプ。これに対し、クラフトビールは常温の上面発酵により醸造するエールをはじめ、ローストした麦芽を使う黒色に近いスタウトなど、製法や原料を変えた多様なビールだ。シェアではビール類市場の1%に満たない。だが、付加価値が高く、価格は少々高いものの20代の若者を中心に人気だ。
ビールをはじめ酒類事情に詳しい酒文化研究所の山田聡昭第一研究室長はクラフトビールについて、「この7年ほどで伸び始めた。特に飲食店では、地酒の純米吟醸、日本産ワインとともにいまブーム。いずれもマスマーケティングからはみ出している点で共通する」という。