ゆうちょ銀行と三井住友信託銀行、野村ホールディングスが設立する共同出資会社は、グループ3社の上場を今秋に控えた日本郵政グループの収益力強化に向けた有力なカードとなりそうだ。政府が少額投資非課税制度(NISA)などを通じ「貯蓄から投資へ」の流れを促すなか、個人向け資産運用事業に参入することで上場後の明確な成長路線を打ち出す。
今回の提携は、全国2万4000の郵便局を販売拠点として活用することが強み。日本郵政はアメリカンファミリー生命保険のがん保険販売、米IBM、アップルとの高齢者向けサービス開発など郵便局ネットワークを生かす提携を進めてきた。
新会社を通じて郵便局が取り扱う金融商品の幅が広がれば、日本郵便の販売手数料収入の増加も見込まれる。金融2社と比べ収益力が劣る日本郵便の経営基盤強化につなげることも3社提携の重要な狙いだ。
今回の3社提携について、金融当局から「バランスシートを大きく膨らませず、販売手数料で稼ぐ望ましいあり方」(金融庁幹部)と評価する声が聞かれる。