不適切な会計処理の対応に追われる東芝は25日、定時株主総会を開く。通常なら決算の承認が主要議案となるが、問題の全容解明が間に合わず、会社側は現役員の再任だけを議案として提案。調査結果をまとめた上で業績を修正し、9月に開く臨時株主総会で2015年3月期連結決算を報告するという異例の2段階方式となる。再任議案の役員任期は臨時総会終了時までに限定されることもあり、可決される見通し。ただ、株価下落などで不利益を被った株主からは田中久雄社長ら経営陣に対し厳しい追及の声が上がりそうだ。
問題の発端となった9件のインフラ関連工事による利益修正額は512億円。工事の進み具合に応じて売上高や原価を計上する「工事進行基準」の運用のずさんさが判明している。
修正額が最も大きいのは、13年9月に東京電力から受注した次世代電力計「スマートメーター」の通信システム開発事業で255億円。インフラ関連以外も含め、現時点で分かっている全体の修正額550億円の半分近くを占める。受注時点で損失が見込まれ、裏付けのないコスト削減も織り込んでいた。
受注を優先した要因として指摘されているのが、原子力事業を取り巻く環境変化だ。東芝は06年に米ウェスチングハウスを買収し、原子力事業の売上高1兆円を目標に掲げたが、東日本大震災後、国内外で原発の新増設が困難となり、事業は停滞。新分野の開拓を迫られた焦りが採算管理を甘くさせたようだ。