業界を巻き込んだ大事件に発展する懸念もある。VWのその他のディーゼルエンジンにも問題があったり、他メーカーにも不正行為が発見されたりするリスクもある。
これほどの悪質な不正行為が、VWで起こったことに正直、驚きを隠せない。VWは社会貢献の意識、環境への配慮が非常に高く、世界各地域で企業の社会的責任を果たしてきた企業だ。クルマの環境対応はもとより、工場のエコシステムの構築や、教育などの社会貢献にも熱心な企業の一つだ。そんなVWが、何を動機に不正に手を染めてしまったのか。
社会責任意識の高さとは裏腹に、VWは、企業統治の構造が非常に特殊な会社でもある。ポルシェ家の血をひくフェルディナント・ピエヒ元監査役会会長が22年間にわたり独善的な経営を続けた事実は明らかだ。企業買収を重ね、組織は複雑となり、信賞必罰の容赦ない人事が繰り返されてきた。
そんなピエヒ氏も今年4月、退任に追い込まれた。拡大路線をひた走ろうとするピエヒ氏と、足場を固めたいヴィンターコーン氏の間に不協和音が生じたためだ。
今回の不正は、まさに新生VWが民主的経営と意思決定の近代化に踏み出そうとした矢先に起こっている。