同裁判所は、スズキの通知で契約が2012年5月に解除されたと認め、VWが保有するスズキ株19.9%(議決権ベース)の売却を命じた。スズキは9月17日に約4300億円で株式を買い戻しを完了、保有するVW株1.5%(同)も売却する見込み。
スズキは1981年から米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と資本・業務提携していたが、2008年のリーマン・ショック後にGMの経営悪化で提携を解消。ハイブリッド車(HV)など環境対応車の開発で厳しい競争にさらされる中、新たな提携先としてVWを選び、09年12月に契約に調印した。
成長する小型車や新興国の市場を得意とするスズキの技術力に、世界で1、2位を争う規模を誇るVWの財務力の組み合わせは大きな相乗効果が期待された。だが、経営への関与を強めるVWに対し、スズキ側は「『独立』の考えに大きな開きがある」と不信感を募らせた。
災い転じて…
その結果、スズキは11年11月にVWとの決別を目指して提訴。だが、VWが筆頭株主として居座り続ける限り第三者との新たな提携に踏み出せず、係争中の約4年間にわたって単独での研究開発を強いられた。