九州電力が15日、川内原発2号機を再稼働させたが、財務体質は依然厳しく、玄海3、4号機(佐賀県)の再稼働がなければ電気料金を引き下げることはできない。火力燃料費の増加で他の大手電力もこれまで値上げに踏み切っており、川内2号機以降も原発の再稼働がなければ、電気代が家計を圧迫することになる。
今回の再稼働を受け、昨年度まで4年連続で最終赤字が続いた九電の業績悪化には、ひとまず歯止めがかかりそうだ。原油価格の下落も加わり、2016年3月期の黒字化も視野に入れる。
ただ、長引いた原発停止で、九電の財務の健全性を示す自己資本比率は、6月末時点で9.6%と危険水域とされる1桁台に沈んだまま。現行の料金体系は「川内と玄海の4基の稼働が前提条件」(瓜生道明社長)で、再稼働が川内のみとなれば、財務改善の効果も限定的にとどまる。
「原発が再稼働すれば、値下げにつなげたい」。これまで2度の本格値上げを実施している関西電力の八木誠社長は、原発再稼働にこう理解を求める。
同社の高浜3、4号機(福井県)が動けば火力燃料費が減り、月130億円の収支改善を見込めるという。東京電力も柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)が運転再開すれば、月160億~280億円の収支改善を見込む。