九州電力川内原発1号機が11日再稼働したが、国際公約となった温室効果ガス削減目標の達成には、一定の原発を維持することが不可欠だ。来年4月の電力小売りの全面自由化を控え、火力発電の中でもコストの低い石炭火力の計画が相次ぐ。だが、原発が発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しないのに対し、石炭は液化天然ガス(LNG)火力の2倍もCO2を排出する。国際公約を果たすためには、原発再稼働の広がりが大前提となる。
「電力事業で勝負するのならLNGでは価格競争に勝てない。きれいごとじゃないんだよ。どうしても石炭火力が必要なんだ」
新電力として大手電力の牙城を崩したい都市ガス大手の幹部は語気を強める。石炭にこだわるのは、LNGといった他の火力燃料に比べ、価格や安定調達に優れているからだ。
政府の試算では、1キロワット時当たりの発電コストはLNG火力が13.7円に対し、石炭火力は12.3円、原子力は10.1円。また、原油同様に中東依存度が高いLNGは紛争などの地政学的リスクにさらされており、輸送費も高くつく。豪州などから安定調達できる石炭の方が使い勝手がいいのだ。