日仏首脳会談に臨むバルス首相(左)と安倍晋三首相=5日、首相官邸【拡大】
「外堀は埋められた」。そんな不安の声が三菱重工業からは聞こえてくる。安倍晋三首相は10月5日、来日したフランスのバルス首相と会談し、日仏の原子力協力の推進に合意した。その上でバルス首相から経営再建中の同国の原子力大手、アレバグループへの三菱重工の出資が強く要請されたからだ。経済産業省も当然のことのように出資を促している。
三菱重工にとっては一見、原子力事業の世界展開の好機と映るが、話はそう単純ではない。アレバの業績不振は深刻であり、その救済は大きな経営リスクを抱えることになる。しかも、仏政府は中国企業にも出資を要請しており、下手に日仏中連合を組めば、中国への技術流出の懸念も否めない。三菱重工は難しい選択を迫られている。
◆天秤(てんびん)にかける仏政府
「アレバグループに出資して得るものがどれほどあるか。むしろ利用されるだけだろう」
三菱重工のある幹部は警戒を解かない。両社は2006年に提携し、中型炉「アトメア1」を開発・販売する合弁会社を設立、トルコで4基を受注したほか、ベトナム、ブラジルなどへ売り込んできた。しかし、大型炉では三菱重工が改良型加圧水型軽水炉(APWR)、アレバは欧州加圧水型軽水炉(EPR)を持ち、競合関係にある。しかも、アレバはそのEPRの建設に相次ぎ失敗し、4期連続の最終赤字に陥ったのだ。14年12月期のそれは48億ユーロ(約6480億円)と巨額だ。