日本郵政本社、上場後は投資家の収益向上要求への対応を迫られる【拡大】
■「金融2社完全売却」新たな火種に
「失敗は許されない。そのためには新しいビジネスを作らないと駄目だ」
菅義偉官房長官は自民党議員にもらした。日本郵政上場の成否は、赤字体質の日本郵便の新たな収益事業次第とみているためだ。
日本郵政グループの2015年度連結最終利益予想は、持ち株会社の日本郵政が3700億円で前年度比23.3%の大幅減益。ゆうちょ銀行は3200億円(13.3%減)、かんぽ生命保険は840億円(3.3%増)で、金融2社の合計が初めて連結最終利益を上回る。
日本郵政が100%株式を保有し続ける日本郵便は最終利益500億円を目指すが、主力の郵便・物流事業は赤字体質から抜け出せていない。「ゆうパック」の取り扱い個数は増えているものの郵便の長期低迷は続き、4~6月期も77億円の営業赤字を計上。それでも日本郵便が全体で営業黒字なのは、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が支払う窓口業務委託費があるためで、14年度は9600億円に達した。
◆見えぬ成長戦略
投資家の多くが「日本郵政グループの成長戦略が見えない」と危惧するのは、日本郵便の新たな収益事業が不透明だからだ。国際物流進出を狙い豪トールを約6200億円で買収したが、のれん代5300億円が経営に重くのしかかる。