日本郵政本社、上場後は投資家の収益向上要求への対応を迫られる【拡大】
「早期の完全売却」は日本郵政の努力目標となり、旧郵政民営化法で定められた「2017年10月までの完全売却」は撤回された。西室社長は「株を全部売っても金融2社とは業務提携を維持する」方針だが、資本関係が切れた金融2社との排他的な提携をいつまで継続できるかは不透明だ。
金融2社の限度額引き上げを提言した自民党の「郵政事業に関する特命委員会」に参加する委員は「金融2社との関係が途切れれば、明治時代以来続いてきた郵便局の『信用』を市場が失墜させてしまう」と心配する。日本郵政が利益の大半を稼ぐ金融2社との資本関係を解消すれば収益力は大幅低下し、株価下落は避けられないからだ。
西室社長は9月25日の記者会見で「(上場は)民営化10年の集大成だ。10年間で目標も社長もくるくる変わったが、将来がしっかり説明できる日本郵政にする」と意気込みを語った。
しかし、政府内にも「完全売却」後を心配する向きがある。ある自民党議員は「いま党に『完全売却』を主張する議員はいない。(3回に分けた売却が完了する)10年後までに法律を変えるべきだ」と話す。
再び政治に揺れるリスクを回避し、真の民営化を成し遂げるためには、市場が納得する成長戦略を早急に描いてみせなければならない。(この企画は中村智隆、森田晶宏、藤原章裕、芳賀由明が担当しました)