「常陽、足利に関する情報はないか、他の銀行はどんな動きをしているのか、何でもいいので知っていることを教えてほしい」
関東に拠点を置く地域金融機関の幹部は10月26日夜から知り合いのマスコミや金融関係者に電話をかけまくっていた。
発端は26日夕刻、NHKが「茨城県を地盤とする常陽銀行と栃木県を地盤とする足利銀行を傘下に持つ足利ホールディングス(HD)が2016年秋にも経営統合する方向で最終調整している」と報じたことから始まる。
「まさか常陽銀行が再編に動くとは」(地銀幹部)と関係者の慌てぶりは尋常ではなかった。両行はすぐに「事業再編に関し幅広く両行間で経営統合を含めさまざまな可能性について協議しているが、現時点で決定している事実はない」とのコメントを発表したが、翌27日の新聞各紙は1面で両行の統合を既成事実として報じた。情報の出所が金融庁関係者とみられたためだ。
結局、両行は今月2日に基本合意。株式交換方式で統合し、共同持ち株会社の下に2行がぶら下がる。統合後の総資産は15兆円近くに達し、地銀3位の規模に躍り出る。