利益水増し問題が起きた東芝の監査を担当した新日本監査法人に対し、金融庁が公認会計士法に基づく業務改善命令を含む行政処分の検討に入ったことが19日、分かった。監査法人を指導・監督する公認会計士・監査審査会は、早ければ年内に新日本監査法人への処分を勧告し、金融庁が最終判断する。
監査審査会は9月から新日本監査法人に立ち入り検査を開始。東芝の経営陣に対して会計上の不審点を十分に追及できなかった問題があるとみて調べている。
東芝は平成21年3月期から26年4~12月期に利益の水増しを行い、税引き前利益の修正額は計2248億円に上った。この間の会計監査を担当した新日本監査法人は、適切な処理と認めていた。
新日本監査法人は、オリンパスの損失隠し事件で監査に不備があったとして、24年にもあずさ監査法人とともに金融庁から業務改善命令を受けている。
金融庁は監査をめぐる法令違反があれば、改善命令や課徴金を命じることができる。16年に表面化した旧カネボウの粉飾決算事件では旧中央青山監査法人が、一部業務停止命令を受け、後に解散に追い込まれた。