7日、決算発表の会見をする東芝の平田政善・代表執行役上席常務=7日午後、東京都港区の東芝本社(三尾郁恵撮影)【拡大】
13日の東京株式市場で東芝の株価が急落し、一時9.2%安と今年の最安値を更新した。原子力事業を行う米子会社ウェスチングハウス(WH)が、平成26年3月期までの2年間で計1600億円の損失を計上していたことが伝わったからだ。市場は、連結で原子力事業の価値を引き下げる減損損失の発生リスクを意識している。
終値は5.9%安の295円20銭。過去のWHの損失に市場が反応したのは、東芝が抱える大きなリスクとして指摘されてきたWHの「のれん代」の減損可能性が認識されたからだ。18年に買収したWHの見えない価値として計上されているのれん代は、事業の収益性が低下すると取り崩さなければならない。のれん代は9月末時点で3441億円で、巨額の減損損失につながる可能性がある。
東芝は、WH単体は新規建設や燃料などの分野ごとに減損の必要性を検証するが、連結ののれん代については事業部門全体でみているため、違いが出ると説明。13日には「部門全体の収益性は確保されている」とコメントした。
また、利益水増し問題で損害を受けたとして、計70人の株主が12月上旬と中旬に東京、大阪の両地裁に相次いで損害賠償請求訴訟を起こす方向だ。