首都圏の都市ガス5社との提携を発表する東京ガスの広瀬道明社長(左から3人目)=24日午後、東京都千代田区【拡大】
電力小売りの完全自由化が来年4月に迫る中、新規参入する「新電力」の旗手、東京ガスが、ガス会社から「エネルギー百貨店」への脱皮に全力を挙げている。電力完全自由化に続く2017年の都市ガス小売事業の自由化で、今度は攻め込まれる立場に立たされ、国内最大のエネルギー市場、首都圏で東京電力との全面的な競争が避けて通れなくなることが背景にある。総合エネルギー会社への転換に伴い、長年親しまれてきた現在の社名との決別も辞さない構えだ。かつて電力会社に奪われたエネルギー最大手の座に返り咲くことはできるのか。
国内需要の3割
「東京ガスという社名で電気を販売することは、よく考えるとおかしい。このままでいいのかどうかは社内でいろいろ議論している」
東ガスの広瀬道明社長は家庭向け電力販売参入を正式表明した10月15日の記者会見で、社名変更についての質問にこう答えた。
電力・ガス事業の自由化でガス会社と電力会社の垣根がなくなる。広瀬社長は「社名はブランド力そのもの」ともいい、「光熱費」の支払先が一本化されていく中で、存在感を高めるためには現在の社名との決別も辞さない考えを示した。