□岡本毅・岡本硝子代表取締役社長、日本硝子製品工業会会長(1999年度第5回大賞(千葉県知事賞)受賞)
■世界トップの“匠の技”を新規事業に応用
技術で世界をうならせるガラス製品作りの職人集団を率いて20年。「会社は社員みんなのもの。自分が(会社に)いるときに手柄は不要であり、人材を集め、教育し、何代か後に花開けばいいんです」
ガラスに付加価値をつけ、工業用部品づくりで勝負するBtoB企業。自動車用ヘッドレンズなどの製造で成長したが、プロジェクター用反射鏡やフライアイ(複眼)レンズなど光学事業製品が柱の「精密機器」メーカーといえる進化を遂げた。
千葉元気印企業大賞(県知事賞)受賞は1999年度。当時のインタビューで「常に攻め続ける姿勢があれば(大手企業にも)勝てる」と強調した。
「拡大路線をとって大規模な企業にするつもりはない。まずは従業員に報いる。『トップの自分がやる』と前面に出るのでなく、従業員、つまり『人を通して事を為すことなり』が、目指すべき経営の姿だと思います」。社員を信じる気持ちは揺るぎない。
創業時の87年前から基本は不変。現場の自主性を求める「それ、私がやります。Yes,I can」の行動規範の下、社の行動指針の1つに「出来ない言い訳より、やる方法を考えます」がある。顧客から「こういうモノができないか?」と相談され、解決策を見つけ、それが技術ノウハウの蓄積となり業績を伸ばしてきた。
競争地位別戦略論で言うニッチャーとしての生き方。「日本のモノづくりの過程で最後に残るのはアナログ的なもの。きめ細かさを前提とした匠の技を磨く」と話す。