□寒竹郁夫 DSヘルスケアグループ代表・CEO(2009年度第15回大賞(千葉県知事賞)受賞)
■“医療産業”の海外展開で質の高いサービスを
「医療を産業化しないといけない。社会保障費の財源がない今、医療が産業に育つことで、国が多くのお金を出さなくても『国民皆保険』を実質的に維持できる仕組みをつくる。質の高い医療を誰もが受けられる体制を維持するための、医療産業化が私にとっての大義です」
全国に先駆けた訪問歯科診療を主軸に歯科・医科・介護サービスを提供する「DSヘルスケアグループ」の代表・CEOとして医療の理念をこう語る。
歯科医院開業が昭和62年、29歳の時。泣き叫ぶ幼児の診療など、人がやりたがらないことをやった。開業時に月15人ほどだった通院患者は月40~50人に。新規患者が120人にのぼったことも。患者志向の大切さを数字で知った。だが、来る日も来る日も診療の繰り返し。開業医にできることの限界を感じ、「これでいいのか? と煩悶(はんもん)する日も多かった」
寝たきりなどのため通院が困難な患者を訪ねる訪問歯科診療に踏み切ると驚くほどのニーズがあった。医療に企業の戦略性や顧客至上主義を取り入れてサービスの質を上げ、より多くの患者を救う-。大志を抱くようになった。
訪問歯科診療支援サービスを提供するデンタルサポート株式会社を立ち上げ、医科、介護へと事業領域を拡大。患者の健康管理から日常生活までカバーするビジネスモデルで、2009年度第15回千葉元気印企業大賞(県知事賞)を受けた。