昭和初期、桑名市を走る桑名電軌。生家はこの通りの近くにあった(桑名市中央図書館提供)【拡大】
3つ目は、パチパチと真っ赤な炎が燃え上がる光景。光と音が熱さとともに膚(はだ)に焼き付いています。桑名は知り合いばかりの濃密な地域社会で、私を育ててくれたのはまぎれもなく両親でしたが、近所のお風呂屋さんのおじいさんと大の仲良しでした。お風呂屋さんの庭にはおがくずの山を入れる木造の蔵があり、そこからおがくずをすくって、風呂釜の下にある焚口にパァーと投げ込むと炎がゴォーッといううなりをたてて燃え上がるのです。そのドラマチックな炎を見ながら、そのおじいさんの膝の上にのっかって、昔話を聞くのです。おとぎ話の主人公たちは今の3Dどころではない大迫力で、私の魂を揺さぶるのです。
父と母と、お風呂屋のおじいさんのおかげで、感受性豊かな少女時代を過ごしました。(聞き手 廣瀬千秋)