原発を持つ電力9社と日本原子力発電は、使用済み核燃料の貯蔵能力を拡大するため、従来の計画も含め2030年ごろまでに計6千トン分の貯蔵場所を確保する目標を打ち出しているが、こちらも最終処分までの“つなぎ”に過ぎない。
成功の鍵は
最終処分場問題については、原発を持つ各国とも苦心している。例えば10年から建設地の選定プロセスに入ったカナダ。「核廃棄物と熟議民主主義 倫理的政策分析の可能性」(ジュヌヴィエーヴ・フジ・ジョンソン著 舩橋晴俊、西谷内博美監訳 新泉社)が議論の過程を検証している。
同書は、最終処分場建設を目指す側は原発推進派と、建設反対派は原発反対派とそれぞれ重なることを指摘。経済的なメリットがあることを重視しリスクを最小限に抑えることを目指す推進派と、事故の確率の高低よりも結果の大きさを重視する反対派との間の溝は深い。
同書は「多様な人々のあいだの、正当とみとめられる合意に向けた意見交換」による熟議民主主義が「最も強力な枠組みを生み出す」と指摘。多様な集団に、公正な情報収集や分析に必要な支援をし、じっくりと議論ができる枠組み作りの歩みを紹介している。こうした熟議から生まれた政策は正統性と公平性を伴うはずだ。