三菱重工業と三菱航空機(愛知県豊山町)は24日、愛知県春日井市で記者会見を開き、国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」のANAホールディングス(HD)への初納入が2017年4~6月から1年程度遅れると発表した。主翼部分の強度不足が判明し、改修作業や試験の実施に時間がかかるためだ。ブラジルのエンブラエルが同じエンジンを搭載した同型機を20年に投入する予定で、これ以上の遅れが受注競争に影響を与える可能性もある。
三菱航空機の森本浩通社長は会見で、「より完成度の高い機体にするため、試験項目の追加、見直しを行うため」と延期の理由を説明した。MRJの機体の強度向上やソフトウエアの改良に取り組んでいるという。
さらに、岸信夫副社長は、国土交通省から安全性を認証される「型式証明」を取得するには「主翼部分の強度が不足している」と明らかにした。飛行試験の実施には問題ないとしながらも「50年ぶりの開発で想定が甘いところがあった」と述べた。
また、今秋以降、地上走行試験を行っているが、想定よりも日数がかかり、さらに試験項目を増やす必要があるという。
今後の開発スケジュールについては、日米で行う2500時間の飛行試験については、来年半ばから米国で飛行試験を実施する予定だったが、来年10~12月に先送りする。同社は18年内に型式証明の取得を目指す。