■東京五輪控え技能労働者不足に備え
--2016年の展望を漢字一文字で表すと
「『備』だ。東京五輪に向けた工事ラッシュを迎え、来年以降は技能労働者の不足がさらに加速する。そこにどう備えていくかが今年の課題であり、勝負どころになるだろう。昨年6月の社長就任時に掲げた大胆な人員シフトを進めたい。地方の協力会社を首都圏へ集めるため、まず横浜に300人規模の宿舎を用意する。ホテルが取れなくなっているため、借り上げ施設も押さえて厚生面を手当てしていきたい」
--内装工事などの協力会社に鹿島が出資してグループ会社化する計画もある
「例えば鉄骨の耐火性を高める工事など、特殊分野の職人をどう確保するかという長期的視点からだ。まず50人規模の会社を2つ、4月に立ち上げる。職人を『多能工化』して当社の各地の現場を回ってもらい、監督もしてもらう。普通の協力会社は専業だが、1つのスキルだけでは、その仕事がない時期に遊んでしまうことになる。建設業の生産性が低いのは、それが原因だ。また、せっかく仕事を覚えても5、6年で辞めてしまう若い人が多い」
--今後目指す技能労働者の姿とは
「関連する仕事を連続して行える職人だ。くい打ち工事なら、その後の土工まで。鉄骨は組み立てから溶接、鳶(とび)はボルト締めまで。スキルの幅を持ってもらい、一現場にじっくり取り組めるようになれば、収入の安定や入職者の増加につながるだろう。業界の課題である『多重下請け』の解消にも役立つ」