--今後の展開は
「災害拠点病院や老人福祉施設など、災害発生時にライフラインが断絶された際のリスク対策として生活用水の確保が必要になってくる。これらの施設に対しては積極的に井戸水を活用した災害用トイレの導入を促していきたい。地域住民を守るためにも、井戸水活用のノウハウを伝えていきたいと考えている」
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【プロフィル】綾久
あや・ひさし 国学院大文中退。建設会社役員などを経て、1996年に「井戸屋」を設立、社長就任。現在、総合建設会社「三和工業」(神奈川県藤沢市)の社長も務め、ミネラルウオーター販売なども手がける。68歳。徳島県出身。
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≪イチ押し!≫女性でも短時間で組み立て簡単
災害用水洗トイレシステム「iDotec Toilet(イドテックトイレ)」。開発に向けて、井戸屋では宮城県女川町の社会福祉協議会などの協力を得て、東日本大震災発生時のトイレ状況に関するアンケートを実施した。
その結果、衛生面では「水洗化は必要不可欠」で、「短時間に組み立てることができる」ことも重要なポイントであることが分かった。それらの声に耳を傾けたうえで開発したのがこのトイレシステムだ。
工具があれば女性でも簡単に取り付け可能で、深さ約30メートルからのくみ上げは通常は手動ポンプ。利用者が増え、水が大量に必要になる場合などに備え、太陽光発電システムを組み合わせた電動ポンプを併設することも可能。停電時にも稼働でき、「新たな防災インフラ」として普及を目指す考えだ。