【ビジネスのつぼ】鹿島 建物用オイルダンパー「HiDAX-R」 (3/4ページ)

2016.2.29 05:00

ハイダックス-Rが採用された日本橋室町三丁目地区第一種市街地再開発事業(A地区)

ハイダックス-Rが採用された日本橋室町三丁目地区第一種市街地再開発事業(A地区)【拡大】

  • ハイダックス-Rの開発経緯について説明する栗野治彦さん(右)と福田隆介さん
  • エネルギー回生システムの原理を建物に初めて応用したハイダックス-R
  • 女性専用のパウダールームには、女性の意見を反映した工夫が施されている

 具体的には、地震の振動による「歪(ゆがみ)エネルギー」をいったん、ダンパー内のシリンダーから補助タンクに移し、そのエネルギーを再びシリンダーに移して再利用し、制震効率を高める。通常の回生システムでは、運動エネルギーを電気などの違う形のエネルギーにいったん変換する方法が用いられるが、そのまま活用するという発想が画期的だった。従来のハイダックスに比べ、揺れ幅は4分の3、後揺れ時間は2分の1に低減。コスト増は30%程度に抑えた。

 新技術の特長は、強風や震度7の大地震だけでなく、震度4、5クラスの地震や長周期地震動に高い効果を発揮できることだ。また、制震効率が高く、建物の制震に必要な油圧ダンパーの数を減らせるため、設計の自由度が高まるメリットもある。事業継続性(BCP)を重視する事業者からも高く評価された。

 既に、三井不動産が建設中の「(仮称)新日比谷プロジェクト」(東京都千代田区)や「日本橋室町三丁目地区第一種市街地再開発事業(A地区)」(同中央区)など計3事業で、新技術の採用が決まった。既存ビルの改修分野での活用も期待されている。

 ◆損傷度の遠隔監視も可能

 ハイダックス-Rの可能性は制震だけではない。通信機能を備えれば、装置に組み込まれた圧力センサーや変位センサーの情報を活用して建物の損傷度を迅速にモニタリングし、都市機能の早期復帰に貢献できる。また橋梁(きょうりょう)に適用すれば、風や交通振動に伴う金属疲労・損傷を軽減できる。通信機能を使って遠隔地の多数の橋梁の損傷度を監視することも可能だ。

 「エネルギー回生の方法は一つではなく、制震技術の高度化への取り組みは今後も活発に進んでいくのでは」(栗野さん)。ゼネコンを中心にした制震技術の競争はさらに激しさを増しそうだ。(鈴木正行)

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