人口減少を背景にした地域経済の先細りや、日銀のマイナス金利政策で収益環境が悪化する中、再編で生き残りを目指す地方銀行の動きが広がっている。親和銀行(長崎県佐世保市)を傘下に持つ、ふくおかフィナンシャルグループ(FG、福岡市)と十八銀行(長崎市)は先週、経営統合で基本合意。公正取引委員会が親和銀と十八銀の合併を承認すれば、長崎県内の預金の約7割という圧倒的シェアを握る新銀行が誕生することになる。今回の統合はライバル同士による消耗戦に終止符を打ち、地域活性化を目指すモデルケースとなる可能性があり、公取委の判断が注目される。
「今まで規模を求めることで収益を確保しようとしてきた。(今回の統合で)規模を常に求めるビジネスモデルから脱却できる」
ふくおかFGとの経営統合について2月26日に記者会見した十八銀行の森拓二郎頭取は、親和銀行との激しい低金利の貸し出し競争で営業現場が疲弊し、地元企業の成長に十分な貢献ができなかったと素直に認めた。その上で、果てしなき消耗戦からの脱却が今回の統合の決め手だったことを明かした。