■化粧品に対する性差乗り越え
≪TEAM≫
「ファンケル メン」の開発に当たり、チームのメンバーがぶつかった壁は化粧品に対する性差だった。
ファンケル化粧品の男性向け化粧品は、1999年発売の「無添加メンズケア ジーナス」までさかのぼる。毎日のスキンケアを男性の習慣にしてもらおうと考え、シェーバー用ローションをラインアップに加えた。2007年には美容液を追加し、美肌効果を前面に出した。12年の刷新では、皮脂バランスを整え、滑らかな肌に導くコンセプトを打ち出した。
商品企画第一グループの佐々木秀明さんは最初の頃、男性化粧品を開発する上での難しさを感じていた。佐々木さんは「男性はそもそも化粧品を使ったことがなく、自分にとって何が良いものかの基準がない」と考えたという。
そこで、社内の男性社員に自社、他社を問わずさまざまな化粧品を試してもらい、感想を商品開発に吸い上げていった。その中で、佐々木さんは「メントールやアルコールの入った男性化粧品が嫌で、女性向け化粧品を使っている人もいる」と気付いた。しかし、女性向け化粧品は女性の肌に合ったもので、男性には向かない。「それなら、女性向け化粧品の良い部分をピックアップして男性向けを作ればいいのでは」という考えに至った。
フェイスウォッシュ(洗顔料)を担当した洗浄剤開発グループの三譯(みわけ)秀樹さんは、2つのイメージを表現した試作品を作り、それを企画部門の女性上司らを含めた社内会議で最終的に決めることになった。男性陣と女性陣で意見が分かれたが、女性の上司が「やはり男性の意見を尊重しよう」と話し、男性陣の意見が採用された。三譯さんは「男性が求める潤い感と、女性が求める潤い感は違うと思った」と振り返る。