また、開発チームがこだわった「クリーミーな泡」について、「男性に気持ちよく使ってもらえる化粧品にする」(三譯さん)ことを心掛けた。
ファンケルの化粧品の特徴は、防腐剤、香料、石油系界面活性剤など、肌に負担をかける成分を一切使用していないことだ。このため、防腐剤を入れずに品質を保ったまま使い切れるよう、少容量にしたり、特殊構造の密封容器を採用したりしている。
ファンケルがこれまでの研究で培ってきた独自のアミノ酸系の選択洗浄成分をメーンに据えた。これは、皮脂の汚れを取ると同時に皮膚の表面を守る「細胞間脂質」を流出させない効果がある。
ところが、この成分をメーンに使用すると、素早くクリーミーな泡ができにくいという問題があった。そこで、容器では3枚のメッシュ構造を採用したほか、中身の成分の組み合わせにもさまざまな工夫を凝らした。洗顔料から泡を手に取り、逆さにしても落ちないほどのきめ細かさを実現できた。
開発チームが一丸となって意見を出し合い、ファンケルらしい肌への安全性と効果を追求した男性向け化粧品が完成した。
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≪MARKET≫
■男性向け市場は拡大傾向
ファンケル化粧品が注力する男性向け化粧品市場は、今後も拡大が期待される。
富士経済によると、2014年の市場規模は前年比3.1%増の1094億円で、15年も前年比1.9%増を見込む。ここ数年、夏場に冷感を強調した顔拭きシートに続き、30~40代を対象に臭い対策を訴求したメンズシャンプー・リンスやボディーシャンプー、エイジングケアを訴求したフェースケア商品がヒットしている。同一ブランドでメンズフェースケアやメンズボディーケア商品が追加されるなど、ラインアップの広がりもあり、市場は拡大しそうだ。