この試算が正しいのなら、これはタカタ1社で到底解決できる問題の規模ではない。消費者の安心を確立し、日本車の安定的な生産活動を守りつつ、「安全」と「安心」のブランドを維持するためには、業界を上げて解決策を見いださなければならない大問題だ。タカタは説明責任を真摯(しんし)に果たさなければならない。影響が大きいホンダとトヨタ自動車には、問題解決へのリーダーシップが問われるだろう。原因究明が進めば、建設的な解決策を早期に見いだすことが大切だ。
乾燥剤付きの硝酸アンモニウムインフレーターについても、将来のリスクをどのようにコントロールするのかという難題も残っている。湿気を帯びなければ差し当たってのリスクは低くそうだと考えられるものの、経年後や予期しない設計・製造上の問題が起こってしまったとき、将来に大きな禍根を残すことにもなりかねない。インフレーターそのものの製品寿命に対しても、問題を先送ることなく、議論を急ぐべきではないだろうか。
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【プロフィル】中西孝樹
なかにし・たかき ナカニシ自動車産業リサーチ代表兼アナリスト 米オレゴン大卒。山一証券、JPモルガン証券などを経て、2013年にナカニシ自動車産業リサーチを設立し代表就任(現職)。著書に「トヨタ対VW」など。