2016年春闘でトヨタ自動車はベースアップ(ベア)を月額1500円とすることで決着した。経営環境は不透明感が増しており、競争力強化やグループの一体感を意識した格好だ。ただ、前年の半分以下で、業績の下方修正が相次ぐ電機大手と同水準。3兆円近い営業利益を見込むトヨタには相場のリード役として期待が高かっただけに、産業界で続いたベアの動きに水を差す恐れがある。
「当然、政府の意向は意識している」
2月中旬に労働組合が要求を提出した後、トヨタ幹部はこう打ち明けた。デフレ脱却を目指す政府は春闘全体に影響を与えるトヨタの動向を注視。労組も「『経済の好循環』に向けたトヨタの役割」を訴えた。業績は過去最高水準にあり、2000円以上のベアも選択肢とみられていた。
ネックになったのが、足元の円高や海外経済の不安定さだ。経営側には、好業績は円安の影響が大きく、競争力強化や生産性向上は道半ばとの思いは根強い。ベアは恒常的にコストとしてのしかかる。