追い風となっていた円安効果も薄れるなど、10兆円目標の前提としていた条件が変わるなか、津賀社長は「必ずしも売り上げを追うことが適切でない」と判断した。「増収による増益の構図を作れておらず、環境対応力も不十分だった」と認めざるを得なくなった。
成長維持への“芽”
目標撤回の表明翌日の4月1日には、投資家の不安をかき立て株価が一時、前日終値比で10%以上急落する場面もあったが、津賀社長は「想定の範囲内だ」と冷静に受け止めた。
売り上げが伸び悩む状況下でも、27年度にはテレビ事業が8年ぶりに黒字に転じる見通しとなるなど、これまでの構造改革を通じて経営体質は着実に強化されている。津賀社長が10兆円の目標こそ撤回したが、「成長戦略は引き続き推進する」と強調したのもその自信の表れともとれる。
津賀社長が10兆円の売上高目標に代わって打ち出したのが、30年度の「営業利益5千億円以上(26年度実績=3819億円)、最終利益2500億円(同1794億円)以上」という新たな経営目標だ。連結売上高は目標とせずに8兆8千億円程度と想定した。