都市部の人材、地方で採用 中小企業など転職狙い工夫 (2/2ページ)

2016.5.4 05:00

合同企業説明会で参加者(手前)に事業について話す、やまみの山名清社長(右)=3月下旬、東京・渋谷

合同企業説明会で参加者(手前)に事業について話す、やまみの山名清社長(右)=3月下旬、東京・渋谷【拡大】

 ◆バスツアー

 教育や医療・福祉事業などを展開するNSGグループ(新潟市)。パートなどを含めた従業員数約1万人の同社は、10年から計約90人を中途採用した。入社した後の生活面でのギャップを少しでも減らそうと、14年7月からは東京での1次面接通過者を対象に、新潟市での説明会に加え、市内を見学するバスツアーを企画している。

 東京の投資銀行などで勤務し、今年3月に同社に転職した40代男性は「新潟で生活する自分の姿をイメージでき、自然が豊かで子育ての環境としては悪くないことが分かった」と話す。近く、東京に残した妻と子供2人も新潟に転居する予定という。

 子供が独立した後、地方に移住するケースもある。15年12月に横浜市から実家のある北九州市に移り、不動産仲介会社に転職した山口進一郎さん(56)は、前の職場で役職定年となり、帰郷を決断した。

 山口さんは「親のことが気掛かりだった。新たな仕事にも挑戦し、夢のある生き方を実現したかった」と振り返る。息子3人は就職などで家を離れ、今は妻と、横浜では飼えなかった犬とともに暮らす。「故郷に帰ると自分が成長したことに気付く。マイホームの購入を検討する顧客に人生の先輩としてアドバイスすることができ、仕事のやりがいは十分」と満足そうだ。

 政府は地方創生の一環として15年度、40~60代の地方転職者を対象に最長半年間の住居費などを支援する制度を実施。人材サービスのパソナなどが受託運営した。

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