ひとたび動き出した歯車は一気に回り始める。会談後、すぐに両トップの特命を受けた少数のメンバーが集められ、連休を返上して具体案の議論が重ねられた。関係者によると、当初は6月下旬に開く株主総会前に提携をまとめ、公表する段取りで動いていたとされる。三菱自の業績影響や三菱自の株主である三菱グループなどの理解に時間がかかるとみていたためだ。
しかし、ゴーン社長は結論を急いだ。三菱グループ内には、日産が三菱自の株式の34%分を2370億円で買い取るという内容に「金額が低い」との声があり合意の遅れにつながりかねなかったが、スピード決着にこだわるゴーン社長の意をくんだ益子会長がグループを急いで回り了承を取り付けた。そして発表の数日前に「ゴーン氏が即決した」(経済産業省幹部)。
ゴーン社長が結論を急いだ背景にあるのが三菱自の株価下落。燃費不正で、問題発覚直前の半値近い価格まで値下がりし、経営を大きく左右できる3分の1超の株式を2000億円超で握ることができたからだ。