ゴーン社長は13日のフジサンケイビジネスアイなどとのインタビューで「燃費不正問題で物事が加速した」と話し、その上で「噂が流れたり、話が歪曲(わいきょく)されたりする危険があったので早く市場に発表したかった」と述べた。噂が市場に広がれば、経営再建期待から瞬く前に三菱自の株価が急騰し、取得額が高くなる恐れがあった。だからこそ三菱自が燃費データの不正を公表した4月20日から、ひと月もたたない12日に、電撃的な資本業務提携の発表をしたわけだ。
不正で弱った三菱自をしたたかな交渉術で傘下に収めるゴーン氏。その豪腕で窮地の三菱自を再生に導けば、世界販売850万台強で世界4位の日産・ルノーグループを年間販売台数「1000万台クラブ」に導くのも夢ではなくなる。
「私どもは世界トップ3に入る実力がある」。12日の決算会見でこう言い切ったゴーン社長が、三菱自との提携のその先に見据えるのは「世界ナンバーワン」の称号だ。(今井裕治)