日産は世界最大の中国市場で日系メーカー首位の座を誇るが、成長市場である東南アジアではライバルに後れを取っている。日産の世界販売全体に占める中国を除いたアジアの割合は1割にも満たない。
世界販売4位に甘んじる日産と仏ルノー連合が、「新ビッグ3」と呼ばれるトヨタ自動車、独フォルクスワーゲン(VW)グループ、米ゼネラル・モーターズ(GM)を追撃する上で、東南アジアでの販売拡大が課題だった。
これに対し、三菱自は東南アジアでの販売台数が世界販売全体の約2割を占める。タイ以外にも、インドネシアで生産能力年16万台の工場を来年4月に稼働させる予定。フィリピンでも昨年1月に工場移転で生産能力を増強している。
日産にとって三菱自が持つアジアの生産拠点は、世界販売の空白を穴埋めし補完できるまさに垂涎(すいぜん)の的であり、不正問題はむしろ千載一遇のチャンスだった。