鉄鋼業界最大のリスク要因となっている中国の過剰生産が、日本メーカーの業績にも暗い影を落としている。2016年3月期は、その影響で新日鉄住金とJFEホールディングス(HD)、神戸製鋼所の大手3社がそろって大幅に利益を減らす結果に終わった。今期は各社とも回復を目指す考えだが、息も絶え絶えだったはずの中国のいわゆる「ゾンビ企業」がようやく淘汰(とうた)されるかと思いきや、足元では逆に生産増に転じており、先行きは不透明。業績が当初予想を大きく下回った前期の再現もないとは言い切れない。
過剰生産が影響
「残念ながら海外は非常に厳しい状況が続いた」
4月28日に行われた新日鉄住金の決算発表会見。栄敏治副社長は、険しい表情で16年3月期を振り返った。
同社は昨年7月時点で2600億円の最終利益を予想していたが、終わってみれば1000億円以上も少ない前期比32.1%減の1454億円にとどまった。残り2社はそれ以上に苦しく、JFEHDの最終利益は76%も減少し、神戸製鋼所は3期ぶりとなる200億円の最終赤字に転落した。