
日産自動車のカルロス・ゴーン社長【拡大】
日産自動車のカルロス・ゴーン社長の経営改革が最終局面に突入した。10月には三菱自動車を事実上の傘下に収め、「量的」拡大で世界販売4位のルノー・日産連合を3位以内に導きたい考え。さらに電気自動車(EV)や自動運転など次世代技術の進化に「質的」対応を図るため、系列部品会社との関係の見直しに着手するなど、電光石火の改革で世界最強グループの形成を目指す。
ゴーン社長の経営の神髄は「新たな価値への挑戦」「リスクを取る」「脱自前主義」の3つの哲学だといわれる。燃費不正問題で揺れる三菱自と資本業務提携するのは、まさに世界販売の拡大という新たな価値を得るためにリスクを取るという判断にほかならない。
もう一つの哲学である脱自前主義は、ゴーン社長が仏ルノーから日産に乗り込んだ1990年代後半からの“系列破壊”の調達改革という形で実践した。割高でも系列会社から一定量を買う取引を見直し、競争原理を取り入れることで危機的な状況にあった日産をよみがえらせた。