現状の問題点は、海賊版グッズの横行と、現地のファンが海賊版サイトを視聴し、月に計100万を超えるアクセスがあること。しかし、日本の作り手に入る売り上げはほぼゼロに等しい。「本物」を正規流通させるには、その地域で受け入れられやすいよう作品を手直しする「ローカライズ」など課題もあるが、瀬戸氏は「現在の悪い流れを変える必要がある」と力説する。
中東の大手メディア出版会社「サウジリサーチアンドマーケティンググループ」の調査では、同地域の2020年の市場規模は、アニメや漫画、ゲームで40億ドル超を見込む。中東に注目する日本企業も出始めており、エンタメ系コンテンツの海外展開の補助金事業を運営する「JLOP」は「今まで中東地域は日本のコンテンツの『空白地帯』ともいえたが、徐々に補助金の相談件数が増えつつある」としている。
国際オタクイベント協会の佐藤一毅代表は「今のアニメ・漫画を好む世界の若者たちは将来、その国の“中核”を担うようになる。アニメ・漫画文化を通じ、『親日』『知日』の人を育てることが今後の国同士の友好関係やビジネス関係を築く上で重要なのではないか」と話している。