
爆買いする中国人観光客らでにぎわう東京・銀座。帰国しても越境ECで日本製品を購入している【拡大】
日用品各社が、日本の商品をネット経由で中国の消費者に売る「越境EC(電子商取引)」を強化している。小林製薬が5月下旬にこの分野へ参入したほか、花王やライオンも商品や販路を広げている。日本の日用品は中国人観光客に人気が高く、中国でも品質の良さなどが評価されている。「爆買い」が減少に転じつつあるなか、受け皿として帰国後も買ってもらったり、日本に旅行できない消費者を掘り起こしたりしたい考えだ。
小林製薬は5月下旬、中国アリババグループ運営の越境ECサイト「天猫国際(Tモール・グローバル)」で店舗を構えた。中国人観光客に人気の冷却剤「熱さまシート(子供用)」に加え、口臭防止剤「ブレスケア」、炭の力で口臭を防ぐ歯磨き粉「スミガキ」、しみやそばかす対策の「ケシミンクリーム」をそろえた。
熱さまシートはすでに中国でも販売されているが、越境ECでも扱うことで既存の販路を補う。それ以外の商品は現地で販売しておらず、まずは越境ECサイトで反応を見極める。
花王は昨年11月の天猫国際に続き、5月末にライバルの京東グループが運営する越境ECサイト「京東全球購(JDワールドワイド)」で、子供用紙おむつ「メリーズ」の販売を始めた。メリーズは、中国の輸入業者が高値で転売しようと日本の店頭で買い占め、品切れが続出していた。越境ECでの取り扱いは、この転売を防ぐ目的もあり、実際に効果を上げているという。品質などで自国商品に不信を抱く中国の消費者が増え、偽物も出回るなか、「花王が管理する製品を(直接)提供できる」と安心・安全を強調する。