総務省の情報通信審議会は20日、今後10年間で、ITに関する専門知識を持つ人材を約200万人に倍増させる目標などを盛り込んだ報告書案をまとめた。すべてのモノがインターネットにつながるIoT(インターネット・オブ・シングス)をめぐり、世界的な競争が繰り広げられるなかで、ニーズが高まるという見方が背景にある。情報セキュリティ対策などITの新たな資格制度の創設を検討する必要も指摘した。
審議会の情報通信政策部会が報告書案をとりまとめた。2011年の調査では、日本のIT人材は約103万人で、米国の約3分の1、中国の約2分の1にとどまっていた。これを25年には約202万人に増やす目標だ。また、現在はIT企業に“偏在”している人材を製造業やサービス業などの一般企業に移動させ、現場でIoTを生かし、生産性を向上させる状況をつくることが重要だとした。
資格制度については、(1)ネットワークのソフト化(2)データ分析(3)情報セキュリティ対策-などの技術を対象として創設を検討すべきだとした。
また、小学校などで必修化される予定のプログラミング教育を活用し、IT人材の量的拡大をはかるなどの方向性を示した。
部会の会合では、「時代状況に合わせて異なるレベルの技術者の育成が必要だ」「省庁横断で政府を挙げて取り組むべきだ」など、人材育成の重要性を指摘する声が相次いだという。