--おおはし里の杜の特徴は
「大橋換気所は高さが45メートルで屋上の傾斜部は15.6度の勾配がある。この形状を利用して、斜面に木を植え、雨水を使った水循環システムで湧水と川の流れを作り、高さ約30メートルの平面部には池と水田を設けた。目黒川周辺の原風景をモデルに、植栽や池と水田に放ったヤゴ、メダカ、モツゴなどの小生物をこの地域の生物由来とすることにこだわった。ループ状の形状を生かして地上約30メートルのJCT屋上に目黒区と連携して整備した回遊型の『天空庭園』と合わせ、都市部で地域と連携した緑化創出を目指した」
--整備で重視した点は
「換気所の施設はコンクリートの塊で、近隣住民には迷惑な存在になる。事業を進める上で環境を重視する近隣の住民の理解を得るのが不可欠だった。このため社外有識者の意見を踏まえ、地域と共生できる整備計画を練った。換気所は雨水を再利用でき、換気所の高さなら外来種が入り込めず、この地域由来の生態系ピラミッドを形成する上で良好な条件がそろう。そこで水田を中心とした緑化空間の整備計画にまとめた」
--地域とのつながりは
「おおはし里の杜は現在、年3回、一般に開放している。このほか、地元の目黒区立菅刈小学校の児童に自然とのふれ合いや自然環境保全の大切さを学んでもらおうと稲作体験を毎年実施している。6月3日には5年生46人に田植えを体験してもらった。道路事業は鉄道事業と違い、お客や沿線住民と接する機会が少ない。道路事業を理解してもらうには沿線住民の声に耳を傾けることが大切で、一般開放などはその良い機会となる」