出光興産の創業家が昭和シェル石油との合併に異議を唱えるなど、創業家が経営陣の重要な決定事項に反対するケースが相次いでいる。社外取締役を増やすなど欧米流の経営手法が広まり、創業家と一定の距離を置く企業が増えたことが対立の背景にある。
出光の創業家は、6月28日の株主総会で昭和シェル石油との合併に反対を表明。定食店チェーンの大戸屋ホールディングス(HD)が23日開いた株主総会では、創業家が会社側の提出した役員人事案に反対した。
企業経営に詳しい日本経済大学の西村尚純教授は、創業家の“反乱”が相次ぐ背景について「ガバナンス(企業統治)を強化する中で、企業が創業家の影響力を排除する動きが強まっている」と指摘する。
実際、出光のケースでは合併について創業家が保有する株式の希薄化に懸念を抱いたとされる。大戸屋HDでは創業者の急逝後、長男が降格したことが対立の引き金となった。経営陣の説明不足も重なり、創業家の不満が一気に噴出した。
大株主の創業家が絡んだ“お家騒動”は直ちに解消されにくい。ただ、騒動が長引くほど、企業価値を損なう恐れがある。(大柳聡庸)