大戸屋ホールディングスがチェーン展開する定食店「大戸屋ごはん処」=10日、東京都豊島区【拡大】
定食店「大戸屋ごはん処」をチェーン展開する大戸屋ホールディングス(HD)は23日、東京都内で株主総会を開いた。5月に創業家が突然、会社側が諮る人事案に「納得できない」と反対を表明し、対立が表面化した。総会では会社側の人事案が賛成多数で可決されたが、創業家は9月にも臨時株主総会の招集を求める検討に入った。委任状争奪戦に発展する可能性もあり、“お家騒動”は長期化の様相となってきた。
「株主の皆さまに心配をかけ、おわびします」。窪田健一社長(45)は総会の冒頭、創業者の三森久実前会長が57歳で急逝してから1年足らずで勃発した今回の対立について陳謝。「風通しの良い企業風土をつくる」と述べ、新体制でガバナンス(企業統治)を強化する必要性を訴えた。
新体制は窪田氏が再任、取締役8人のうち5人が退任し、主力取引銀行出身で相談役兼最高顧問の河合直忠氏(71)が取締役に復帰する。見方によっては、久実氏に近い人物を排除したとも受け取れる内容だ。
株主からも「取締役がこれほど入れ替わるのは通常ではない」などと不満の声が漏れた。総会は新任取締役が抱負を語ることもなく終了。会社側は成長戦略の説明を尽くしたとは言い難く、新体制の経営次第では株主の不満は大きくなりかねない。
久実氏から計18%超の株式を相続した妻の三枝子さん(62)と長男、智仁氏(27)は、総会で質問をせず沈黙を貫いた。創業家は株式を3月に相続したばかりで準備が間に合わず、動議も出さなかった。
ただ、会社法の規定で9月になれば株主提案などの権利を行使できる。創業家は臨時株主総会の招集を求め、対抗する人事案や経営方針を示し、株主に改めて賛否を問う構えをみせている。(大柳聡庸)