石油元売り2位の出光興産の創業家が同社と5位の昭和シェル石油との合併に反対を表明した問題で、出光の経営側が創業家に対し協議の申し入れを行ったことが4日、分かった。両者は協議入りすることで一致したものの、創業家は合併によって出光の存在感が薄れるとして反対姿勢を強めており、両社の溝は深い。
創業家側は4日、産経新聞の取材に応じ、「経営側から出光昭介名誉会長に協議の申し入れがあった。受け入れる考えで、日程は今後詰める」と答えた。経営側も同日、「詳細はこれからだが、いろいろな部分について丁寧に説明したい」と述べた。
出光は昨年7月、昭シェルと経営統合に向けて協議入りすることを発表し、同11月に合併を目指すことで基本合意した。少子高齢化やエコカーの普及で国内のガソリン需要が先細りする中、合理化を図り、収益力を高める狙いだった。
しかし、6月28日の定時株主総会で、創業家の代理人を務める浜田卓二郎弁護士が社風や企業体質の違いなどを理由に合併反対を表明したことで、合併計画に狂いが生じた。
経営側は、公正取引委員会の審査結果を待ち、9月中にも昭シェル株33・3%を取得し、来年4月に合併する計画で、臨時株主総会を年末までに開く予定だ。
合併承認には臨時株主総会で株主の3分の2以上の賛成が必要になる。創業家は、合併を拒否できる3分の1超の株式保有を主張している。