
三菱商事や三井物産などが参画するインドネシアのタングーLNGの既存陸上液化プラントなど。建設コストが安い今が好機と、今月1日に拡張投資を決めた(三菱商事提供)【拡大】
三菱商事と三井物産は、液化天然ガス(LNG)の海外販売を大幅拡充する。三菱商事はシンガポール子会社に移管したLNGトレーディング(輸出と輸入を取り持つ)事業で、2020年までに人員を倍増させる方針。三井物産も2年以内にシンガポールに同事業をシフトし、アジア市場を開拓する。発電所や輸入基地などLNG販売につながるインフラ事業にも注力し、増加する新興国の需要を取り込む。
国内余剰分を転用
三菱商事と三井物産は2016年3月期決算で、資源安に伴う巨額損失計上により初の最終赤字に転落。エネルギーなど資源ビジネスは収益が見込めるか慎重に選別して進める方針を打ち出している。
ただ、世界のLNG需要は、新興国を中心に20年には14年比40%増の3億5000万トンに拡大することが見込まれ、その後も成長が続く見通し。一方で、国内のLNG需要は今後、原発再稼働などで大幅に減少する可能性もあり、「余剰分を伸びる海外に転売するなど機動的に需給調整する」(三菱商事の平野肇常務執行役員)と海外市場開拓が急務となっていた。