
鶏むね肉に「お肉やわらかの素」を振りかけ5分待つと調理後に効果が表れる【拡大】
山田さんは、味覚や食感に優れると認定された社員をパネリストに、肉の軟らかさを構成する要素の洗い出しと相関性を分析。その結果、「しっとり感」「油脂感」「コク」「かみ切りやすさ」「繊維感」の5要素で成立することを突き止めた。しっとり感には水分、油脂感には脂を保持させて、かみ切りやすさと繊維感は肉の繊維を切ってほぐれやすくすればいい。約200種の原材料候補を集め、1種ずつ肉に振りかけ、5分置いては焼いて食べ、弾力性などを試した。地道な実験から、水分保持はでんぷん、繊維感を弱めるには酵素(タンパク質分解酵素)が適すると判断した。
だが、振りかけて肉表面に付着させるだけでは、酵素やでんぷんはなかなか内部に入らず、5分間では厚めの肉で軟らかさが得られない。タンパク質はアミノ酸が鎖状に連なった構造を持ち、選んだ酵素はアミノ酸配列が特定の組み合わせの部位に作用してつながりを切る。タンパク質分解酵素として一般に知られるパパインよりも切断できる部位が少ないため、長時間放置しても肉が融(と)けることはないが、酵素の作用だけでは肉の内部に素早く入り込むのは難しかった。試行錯誤の結果、食塩とアミノ酸がタンパク質同士の結びつきを緩めて隙間を作り、でんぷんや酵素が浸透しやすくすることが分かった。
コクは独自素材のグルタミルバリルグリシンで増強、油脂感は増粘多糖類で肉表面を覆って確保。放置時間5分で軟らかくなり、長時間放置でも肉が融けることもない。配合の基本レシピは当初想定の数百種類から10種程度に絞り込んだ。依頼から1年3カ月が経過していた。