
「アサヒもぎたて」をアピールする開発担当者の宮广朋美さん=東京都墨田区のアサヒビール本社【拡大】
しかし、「新鮮」を実現するための道のりは決して平坦(へいたん)ではなかった。缶チューハイは製造から消費者に届くまで1~2カ月かかるとされる。このため、居酒屋の生搾りサワーのようなフレッシュ感を出すのは容易ではない。しかも、インタビューでも回答があった消費者が「人工的な味」と感じるのは、劣化臭などが原因とされるからだ。とくにレモン味は顕著に表れるとされており、レモン味の飲料やタブレットでも薬品に似た味になりがちになるという。しかし、裏を返せばこのハードルを乗り越えれば理想とする缶チューハイにぐっと近づくことになる。
果汁選びには時間をかけた。味の決め手になるほか、アルコールとの相性が悪いと、後味が甘くなったりするからだ。それだけに失敗は許されない。
たくさんの候補から選びだしたのが、収穫後24時間以内に搾汁した果汁だった。新鮮さの肝ともいえる香気は時間の経過とともに、減少していくからだ。通常、果実は収穫してから2~3日後に搾汁する。しかし、レモンの香気を調べると、収穫当日の100%に対し、3日後では約10分の1の9%に激減するという。
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新鮮さを実現するための取り組みは果汁だけではない。缶チューハイは製造中に劣化が始まるとされ、製造工程での技術革新にも挑んだ。通常より低温で殺菌することで、果実の香味成分の劣化を抑制する技術「低温殺菌技術」を確立。また、果実の香味成分の劣化を抑止する効果のある天然由来の素材を活用し、香りの劣化を防ぐ技術「香味劣化抑制技術」も開発し、より新鮮な味わいを実現した。両技術とも特許出願中だ。