
リコーが開発した立体複製画制作技術「触れる絵画」。絵の凹凸も再現している【拡大】
リコーのインクジェット印刷技術は建造、インテリア、住宅の装飾など産業用途で使われ、壁紙や家具に木目などの模様を印刷することができる。立体複製画制作技術はこれを美術の分野に応用したもので、リコーは5年前から開発に取り組んできた。
印象派など19、20世紀の西洋絵画を代表するゴッホ、モネ、セザンヌ、ルノワール、マティス、ピカソらの日本初公開となる15点を含む52点の名画が披露される「デトロイト美術館展」の東京展(来年1月21日まで、上野の森美術館)では、この技術を使って作られた複製画5作品7点が販売される。
◆絵の具の盛り上がり解析
「美術館が保存している名画は簡単に借りることはできませんから、2次元カメラで撮影した画像データをもとに、絵の具の盛り上がり方を解析する。そして、特殊なインクジェットプリンターで凹凸を作り、着色していくのです」
使われるインクは、紫外線を当てると瞬時に硬くなり定着する「UVインク」で、水や直射日光にも耐えられる。
「浮世絵などは水性インクプリンターで簡単に複製できますが、この技術は絵の具を塗り重ねる油絵の複製に適している」
原画に絵の具が厚く塗られていればいるほど、複製に時間はかかる。巨匠たちの高度な技術は簡単にまねできるものではない。絵の具の盛り上がり方などを間違って認識してしまう場合もあり、原画と照らし合わせながら繰り返し修正し、完成度を高めていくという。
「色の再現は本当に難しいです」と語るのは、同じくIJ事業部シニアスペシャリストの亀井稔人さん。“強敵”として名前を挙げた画家は「色の魔術師」の異名を持つマティスだ。
「トルコ石を削って作った特殊な絵の具の『ターコイズ・ブルー』と同じ色を出すのに苦労しました」