
リコーが開発した立体複製画制作技術「触れる絵画」。絵の凹凸も再現している【拡大】
灰田さんも、「セザンヌの『サント・ヴィクトワール山』のぼーっとした感じを再現するのは難しい」と語るが、今後も技術を向上させていきたい考えだ。
「ゴッホの『夜のカフェテラス』という作品は色のコントラストが著しく、いつか複製に挑戦してみたい」。亀井さんも「絵のひびなども忠実に再現し、アーカイブとして役立つものを作りたい」と意欲を燃やしている。(宇野貴文)
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≪企業NOW≫
■複合機核に新規事業へ次々参入
リコーは今年2月、創業80周年を迎えた。あらゆる機器がインターネットで結ばれる「IoT(インターネット・オブ・シングス)」が進むとともに、主力製品の複合機をめぐる環境は大きく変化している。紙に印刷する機能だけでなく、複合機を核としたITサービスなどを提供するほか、新規事業にも次々と参入している。
4月には、脳の神経活動から生じる生体磁気を計測する脳磁計事業を横河電機から継承。ヘルスケア分野に参入した。
6月には、病院内で医師、看護師、患者の動きを通信技術を活用して把握できる医療施設向けサービスの提供も開始。屋内位置情報ビジネスにも参入した。
また7月には、訪日外国人観光客向けに、スマートフォンを活用した主要7カ国語・24時間365日対応の多言語通訳サービスの提供も開始した。
3Dプリンター事業についても、すでに世界最大手メーカーの米ストラタシスにプリントヘッドを提供しているが、自社で3Dプリンターを製造・販売することも視野に入れて研究を進めている。
経営理念は、創業者の市村清が定めた「三愛精神」(人を愛し、国を愛し、勤めを愛す)。昨年からは、国内グループ社内での喫煙、就業時間内の喫煙を全面禁止にするなどユニークな社風でもしられる。