ガソリンを使わずに電池で走る電気自動車(EV)への注目が集まっている。決め手となる電池技術の進歩の結果、1回の充電で走れる距離が伸び、価格も低下傾向にある。増え続ける自動車からの温室効果ガス排出を減らすことへの貢献を目指し、各国の自動車メーカーの開発競争も熱を帯びてきた。
炭素樹脂で軽量化
広大な敷地の工場の中に、4基の風力発電の風車がゆっくり回る。オフィスと工場が一体化した内部では、頭上のコンベヤー上を完成間近の車が動いて行くのが見えた。ドイツ・ライプチヒにある自動車大手BMWの工場は新国立競技場の設計で話題になった故ザハ・ハディド氏の設計。工場のイメージとは程遠いこの場所が同社のEV「i3」の生産拠点だ。「工場内での写真撮影は一切禁止です」との広報担当者の言葉が、EV開発競争の激しさをうかがわせる。
「i3は車体を軽くして走行距離を延ばすため、リサイクル可能な炭素繊維強化樹脂をボディーに採用した。炭素樹脂はアルミよりも軽いけど強度が強く、加工もしやすいので部品の数も大幅に減らすことができた」と同社のヨッヘン・ミュラーさんが黒っぽい炭素繊維を手にしながら説明する。「最も重要なバッテリーは高性能のリチウムイオン電池を採用し、家庭でも短時間で充電ができます」
走行過程では地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を出さないEVだが、化石燃料を使った電力で充電をしたり、製造過程で化石燃料のエネルギーを使ったりするので「CO2排出ゼロ」とは言えない。