免許返納で割り引き
「利用者は着実に増えており、イメージ向上にも貢献している」。タクシーを全国展開する第一交通産業は、運転免許証を自主返納した65歳以上が返納を証明する書類を提示すれば、乗車料金を1割値引きしている。12年2月の沖縄県を皮切りに本社の北九州市や長崎県島原市などで導入済みだ。山塚伸吾・営業推進課長(42)は顧客の反応に、こう自信を示す。
北九州では、16年10月の利用件数は約1000件で、導入した2年前から10倍超に増加。同社は問題の広がりを受け、他のエリアへの導入も検討する。
旅行大手のJTBは今年7~10月、福岡市内で70歳以上を対象にタクシーの定期券を試験的に発行した。病院や百貨店など各自が指定した目的地と自宅の計3カ所の間を1カ月間定額乗り放題で利用可能とした。ただ、JTBは「利用は目標に届かなかった」としており、本格展開が可能かどうか慎重に検討中だ。
自治体の取り組みも
企業が採算面などからためらうサービスを、自治体が実施する例もある。三重県玉城町は民間のバス路線廃止に伴い09年11月から、町内で乗降場所や乗車時刻を自由に決められる乗り合いバスを無料運行している。財政が苦しい中、予約時だけ運行するなど費用削減に知恵を絞る。町生活福祉課の西野公啓課長(56)は「高齢者の生活に支障がないよう行政でカバーしていく」と意気込む。
静岡県長泉町は12年7月から、返納した65歳以上にタクシー料金の1割を助成。青森県五戸町も今年10月から70歳以上の返納者を対象に、毎年1万円分のバス乗車券を配るなど、各地で取り組みが広がりつつある。