
スズキと競合する新型小型車「トール」を発表したダイハツ工業の三井正則社長(右)と、トヨタ自動車の佐藤康彦常務役員【拡大】
国内軽自動車市場で長年覇権を激しく競い合ってきた“宿敵”同士のスズキとダイハツ工業の今後の関係が自動車業界の新たな焦点に浮上している。ダイハツを完全子会社化したトヨタ自動車が10月、スズキとの業務提携に向けた検討に入ったからだ。スズキとダイハツは軽販売で激しくシェアを争うほか、アジアなど海外市場でも小型車で激突する。競争と協調領域をどう線引きし融和を果たせるかがトヨタとスズキの提携の行方を左右しそうだ。
「ライバル関係続く」
「トヨタとの提携内容がどうなるか分からないが、スズキはスズキ、ダイハツはダイハツという関係の中で、切磋琢磨(せっさたくま)する」
スズキの鈴木俊宏社長は11月4日の記者会見で、トヨタとの提携がまとまっても、スズキとダイハツのライバル関係は続くとの認識を示した。実際に、提携検討入り後も、両社の“ガチンコ”勝負は続いている。
11月9日にダイハツが発売した新しい小型ワゴン車「トール」。広い室内空間と軽自動車並みの小回りの良さが特徴で、子育て世代の需要を見込むが、その分野の最大の競合となるのはスズキの「ソリオ」だ。