三菱自新体制 “未知”に挑むゴーン流改革 日産とは異質のケース、改めて問われる手腕 (2/3ページ)

三菱自動車の株主総会で挨拶するカルロス・ゴーン氏(右)ら新取締役。プレスルームのモニターから=14日、千葉市美浜区(荻窪佳撮影)
三菱自動車の株主総会で挨拶するカルロス・ゴーン氏(右)ら新取締役。プレスルームのモニターから=14日、千葉市美浜区(荻窪佳撮影)【拡大】

 経営危機に陥っていた日産を短期間でV字回復に導いたゴーン氏が導入したのがコミットメント(公約)経営だ。

 常に高い目標を打ち出し、それを達成し続けることで、従業員のやる気を引き出し、さらに業績回復による株価上昇で株主にも報いるという手法で、それを今回、三菱自にも取り入れる。

 三菱自の早期再建につなげるのが狙いだが、拡大路線が裏目に出て経営危機に陥った日産と不祥事体質の三菱自では、低迷の原因が違い過ぎる。

 日産では余剰人員、過剰な設備を大胆に減らし、業績を急回復させたが、前提には企業としての信頼の高さもあった。一方、三菱自は2000年代にリコール(回収・無償修理)隠し問題を起こした教訓が生かされず、燃費データの改竄(かいざん)だけでなく、不正公表後に実施した再測定でも不正を重ねた。消費者の信頼は失墜している。

 日産は、三菱自に対し燃費データ不正問題の舞台となった開発部門に技術者を派遣し技術支援を行うとともに、法令順守意識の改革を急ぐ。しかし、不正を繰り返す企業風土の改革はゴーン氏にとっても初めての経験になる。

 ゴーン氏は「お客、株主、従業員の信用を獲得できなければ存続できない」と述べ、信頼回復に全力を注ぐ決意を示した。その言葉通りに信用を取り戻すことができなければ、三菱自を傘下に収めて規模を拡大し、世界首位を狙うゴーン氏の青写真は狂う。改めてその手腕が問われている。

三菱自動車の燃費データ不正問題発覚後の経緯